リモートワークは、コロナ禍をきっかけに多くの企業で急速に普及しました。しかし最近では「出社回帰」の動きも見られるようになり、この働き方の今後に不安を感じる方もいるかもしれません。
本記事では、リモートワーク廃止の背景やその実態、今後の展望に加え、リモートワークをめぐる価値観の違いや課題について、わかりやすく解説していきます。
リモートワーク廃止の背景とは?
なぜ出社を求める企業が増えているのか
コロナ禍で急速に広まったリモートワークですが、現在では一部の企業で出社を再開する動きが目立っています。その理由には以下のような背景があります。
- コミュニケーション不足:オンライン会議やチャットツールでは細かなニュアンスが伝わりづらく、雑談や相談の機会が減るため、チーム全体の一体感が損なわれがちです。信頼関係の構築にも時間がかかり、業務効率や創造性に影響を与えることがあります。
- 新人育成の難しさ:リモート環境では、先輩社員の仕事ぶりを間近で見て学ぶ機会が少なく、質問もしづらいため、育成に時間がかかる傾向があります。これにより、新人の成長スピードが鈍化するリスクが生じます。
- 成果の見えづらさ:在宅勤務では成果物が評価の中心になりがちで、プロセスや日々の努力が見えにくくなります。上司が部下の業務状況を把握しづらく、タイムリーなフィードバックやサポートが難しくなるという課題もあります。
リモートワーク廃止で退職を考えるのは妥当?
公益財団法人日本生産性本部が2023年に実施した「第6回 働く人の意識調査」によると、リモートワーク制度の廃止・縮小をきっかけに「退職や転職を考える」と回答した人の割合は約16.4%でした。
(出典:日本生産性本部 調査結果PDF)。
特に以下のような事情がある場合、退職や転職を前向きに考える人も少なくありません。
- 育児や介護など家庭の事情により出社が難しい
- 通勤時間や移動による負担が大きい
ただし、すぐに退職を決断するのではなく、まずは上司や人事と話し合い、柔軟な働き方ができないか確認することが大切です。部署異動や勤務時間の調整などで解決できる場合もあります。
実際のリモートワークの課題と向き合い方
通勤がない=楽とは限らない
通勤時間がゼロになるというメリットは大きいものの、それだけでリモートワークが「楽」と言えるわけではありません。以下のような新たな課題も生じます。
- 仕事とプライベートの切り替えが難しく、気が抜けない
- 外出機会が減り、運動不足や体調不良につながる
- 会話が減り、孤独感やメンタルへの負担を感じることも
快適に働くには、自宅の作業環境を整えることや、意識的に体を動かす習慣を取り入れることが重要です。
「ながら仕事」を防ぐ時間管理術
「リモートワーク=サボりやすい」というイメージもありますが、より成果主義となることも多いため、自己管理ができなければ信頼を失う可能性もあります。
リモートワークでは、自由と責任が表裏一体であることを常に意識する必要があります。
自宅にはテレビやスマホ、家事といった誘惑が多くあります。集中力を維持するためには、次のような工夫が有効です。
- 「25分作業+5分休憩」を繰り返すポモドーロ・テクニックの活用
- 家族とのコミュニケーションルールを決めて、作業時間を確保する
- 雑音を遮断する音楽やホワイトノイズを使う
また、自宅内に「仕事専用のスペース」を設けることで、オン・オフの切り替えがしやすくなります。
IT業界に見るリモートワークの実情と見極め方
リモートワークが多い企業・部署の共通点
IT業界では、業務の特性上リモートワークがしやすい企業や部署が多く存在します。
以下は、リモート環境が整っている企業の主な特徴です。
- クラウドやSaaSなどインターネットベースの事業を展開している
- チーム間のタスク管理や進捗共有がすべてオンラインで完結している
- 成果主義が文化として根付いており、働く場所よりもアウトプットを重視している
- 開発やデザインなど、PC上で完結する業務が中心
特に自社プロダクトを持つ企業や、エンジニア・デザイナー職が多い部署では、フルリモートが当たり前になっていることもあります。
リモート勤務が可能かどうかを見極めるポイント
筆者自身の経験をもとに、リモートワークの可否を見極める際のチェックポイントを紹介します。
- 求人票に「フルリモートOK」「在宅勤務可」など明記されているか
- 面接でリモート環境や評価制度について詳しく説明されるか
- SlackやZoom、Notionなどのツールを日常的に活用しているか
- メンバーが地方や海外に在住しているかどうか
見かけ上はリモート勤務が可能とされていても、実際には出社が推奨されている企業もあるため、入社前の確認がとても重要です。
おわりに:あなたに合った働き方を見つけよう
リモートワークは、現代における多様な働き方の選択肢の一つです。出社回帰の動きがある一方で、柔軟な働き方を維持しようとする企業も数多く存在しています。
大切なのは、流行や制度の変化に振り回されるのではなく、自分にとって最も働きやすい環境を見極め、主体的に選択していくことです。
情報収集を欠かさず、自分の価値観やライフスタイルに合った働き方を選べば、リモートワークはキャリアや人生をより豊かなものにするための大きな武器となるはずです。
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